登山を始めた方なら、富士登山を目標にしている人は少なくないですよね。
ですがなかなか富士登山に踏み切れない、というのも事実。
その理由は色々とあると思いますが、大きな理由に
・登山ルートが6ルートと多く、登山レベルなどによって適切なルート選択が必要。
・基本的には小屋泊前提で事前の予約が必要。
・開山期間が7月上旬~9月上旬と2か月しかないので、しっかりと計画を立てることが必要。
なことがあります。
そのため、富士登山をするには他の山よりも入念な
・情報収集(宿泊場所やルートごとの難易度などについて)
・登山計画(登山ルートやタイムコースについて)
・事前準備(必要な装備や注意事項など)
が必要です。
今回はそんな富士登山をするうえで障害になりやすい上記の3点につてまとめました。
いつかは富士山に登りたい、と思っている方はこの記事を読んで、その『いつか』を今年にしましょう!
富士登山のシーズンは7月から8月。できるだけ早めに準備をしましょう。
事前の情報収集はもちろん、時間があれば身体づくりや近くの山で装備の確認などもできるはず。
登山シーズンと開山期間は7月上旬~9月上旬
富士山の登山シーズンは8月上旬から中旬です。
山頂付近の雪が解けて寒さがやわらぎ、より天候も安定しているからです。
開山期間は年やルートによって若干違いますが、多くの場合は7月10日から9月10日で、日数にすると約60日になります。
登山口と登山ルート
ここでは登山ルートとそれぞれの登山口についてまとめました。
登山ルートの情報収集は何よりも大切。
しっかりと情報を集めて自分に合った登山ルートを選択しよう。
ポイント
結論として初心者は、吉田ルートで八合目か本八合目の山小屋を予約すること
富士登山ができる期間は、7月上旬~9月上旬。それ以外の期間に準備をして挑もう!
すぐに登山の計画を立てるなら、装備を準備して、モデルケースに合わせて計画すること
吉田ルート
山梨側からの登山ルート。
富士スバルライン五合目からのスタートとなります。
特徴としては
- 登山道と下山道が別(登の人と下りの人がすれ違う混雑が避けられるので比較的スムーズ)
- 山小屋などの施設が充実しているので初心者でも比較的安心
- 比較的登りやすいので、富士登山者の半数が吉田ルートに集まる
といったところ。
富士登山ルートの中では一番のメジャールートと言えるでしょう。
富士宮口ルート
静岡側からの登山ルート。
富士宮口五合目からスタートとなります。
特徴としては
- 富士登山ルートの中で山頂までの距離が最短(登山口の標高が最も高いため)
- 登山道の斜度が比較的キツく岩場なども多い
- 登山道と下山道が同じなので迷いにくいが登りと下りの合流で混雑しがち
といったところ。
斜度はキツめですが、山頂までが最短距離のため、吉田ルートに次ぐ人気の登山道です。
須走ルート
静岡側からの登山ルート。
須走口五合目からスタートになります。
特徴としては
- 途中まで樹林帯が多く日差しが避けられたり森林浴ができる(その分見通しは悪いので迷わないように注意)
- 登山道と下山道が別で混雑が避けやすい
- 下山道は砂走り(火山砂利を一直線に滑り降りる下り方。スリルと爽快感が味わえる)が体験できる
といったところ。
八合目からは吉田ルートと合流します。
砂走りの体験をしたい人はこのルートを選びます。
プリンスルート
静岡側からの登山ルート。
富士宮口五合目からのスタートとなります。
皇太子時代の天皇陛下が登られたことからプリンスルートと呼ばれます。
特徴としては
- 富士登山道の中で最も人が少ない(混雑せずに静かな登山が楽しめる)
- 富士登山道の中で最も山小屋などの施設が少ない(経験者向けということ)
- 太平洋を眺めながら登山できる
といったところ。
経験者向きのコースですが、静かな登山を楽しみたい方にはおすすめのルートですね。
アクセス情報・マイカー規制
富士山はマイカーの他、バスや電車などの公共の交通機関で行くことができます。
マイカーは規制もあるので、ここではアクセス情報についてまとめました。
公共交通機関でアクセスする場合
公共交通機関でアクセスる場合は最寄りの駅から登山バスを使う方法と、富士急行の高速バスを使う方法があります。
高速バスは関東の各エリア、名古屋、大阪、京都、高山などから富士山駅行きがあります。富士スバルライン5合目(吉田ルートのスタート地点)行きも期間によっては運行されています。
以下に各登山口に向かう登山バスの最寄り駅などについてまとめましたので参考にしてくださいね。
ルート名 | 吉田ルート | 須走ルート | 御殿場ルート | 富士宮ルート | プリンスルート | 吉田口ルート |
最寄駅発のバス | 富士河口湖駅、富士山駅、富士山パーキング、関東、関西方面から高速バス | 御殿場駅 | 御殿場駅 | 三島駅、新富士駅、富士駅、富士宮駅 | 富士宮ルートと同じ | 富士山駅 |
マイカーでアクセスする場合
マイカーでアクセスする場合は、ルートや時期より通行規制がされているので注意が必要です。
規制期間の場合は、ふもとの駐車場に駐車し、バスやタクシーに乗り換えていく事になります。
ふもとから登る吉田口ルートは、北口本宮冨士浅間神社から登る場合は馬返し駐車場からピストン、富士山パーキングから歩いてアプローチの2通りがあります。どちらも距離は変わらす約4kmです。
なお、御殿場ルートはマイカーの通行規制がない唯一の登山ルートです。
ルート名 | 吉田ルート | 須走ルート | 御殿場ルート | 富士宮ルート | プリンスルート | 吉田口ルート |
マイカー規制 | 有り | 有り | 無し | 有り | 有り | 無し |
道路 | 富士スバルライン | ふじあざみライン | 富士山スカイライン | 富士山スカイライン | ← | 県道701号 |
駐車場 | 富士山パーキング 有料 | 須走多用途広場 無料 | 有り | 水ヶ窪公園駐車場 有料 | ← | 吉田口馬返し駐車場無料、 富士山パーキング 有料 |
シャトルバス | 有り | 有り | – | 有り | ← | 無し |
山小屋情報
リストは別途作成しますので、概要だけ記載ください。
富士登山を行う上で心強い味方の山小屋。どのルートにも山小屋があるので、安心して登ることができます。
注意点は、期間によっては営業していないということ。事前にルート上の山小屋の営業情報などを調べておきましょう。
日帰り温泉リスト
登山後の温泉は本当に気持ちいいですよね。
ここでは、富士登山後のおすすめの日帰り温泉をリストアップしました。
河口湖方面
吉田ルートや、吉田口ルートから登山を行う方におすすめの、河口湖周辺の日帰り温泉です。
施設名 | たかの友梨 スパ&ホテル 桜庵 | ホテル美富士園 | ふじやま温泉 | ロイヤルホテル河口湖 開運の湯 | 富士山溶岩の湯 泉水 |
特徴 | 週替わりで色々な湯船を楽しめる。その他の風呂やサウナも充実。 | 風呂からは富士山の展望 | 内風呂、露天、岩盤浴、サウナに休憩室と充実の設備 | 河口湖でも特殊な源泉の温泉。 | 4種の風呂とサウナ、休憩室と充実している。 |
山中湖・御殿場方面
須走ルートを使った登山におすすめな山中湖方面の日帰り温泉と、富士宮ルートなど御殿場方面にある日帰り温泉施設です。
時間に余裕のある方は、少し足をのばして温泉が豊富にある箱根に向かうのもおすすめです。
施設名 | 石割の湯 | 紅富士の湯 | ホテルマウント富士 | 御胎内温泉 | 御殿場高原 時之栖 天然温泉気楽坊 |
特徴 | pH10.2の高アルカリ温泉。3種の風呂にサウナ。大広間や売店も充実。 | pH10.3の高アルカリ温泉。湯船からは富士山の展望。広間も完備。 | 富士山と山中湖を望むことができる露天風呂。 | 6種類の風呂とサウナ。休憩室やレストランも併設。 | 御殿場高原にある日帰り温泉施設。様々なタイプの風呂あり。 |
西湖方面
下山後に長野方面に向かう方や、富士山の西側から名古屋方面に向かう方は、西湖付近から西方面の日帰り温泉もおすすめです。
施設名 | 冨士展望の湯 ゆらり | 上九の湯 ふれあいセンター | みはらしの丘 みたまの湯 | あさぎり温泉 風の湯 | つむぎの湯 |
特徴 | 内湯、露天どちらからも富士山の展望 | 内風呂、露天、打たせ湯など豊富な湯船。 | 中央高速のそばで、甲府盆地を展望できる。 | 富士宮市にある日帰り温泉。富士山の深層水バナジウム水の温泉。 | 六郷ICそばの温泉。内湯と露天風呂。休憩室もあり。 |
登山行程/登山計画
ここではそれぞれのルートのモデルケースを記載します。
登山時の参考にしてくださいね。
モデルケース(吉田ルート)
最も登られている吉田ルートのモデルケースです。八合目か本八合目の山小屋で1泊して、ご来光を見るのがおすすめです。
早起きをして山頂でご来光を見るのもおすすめです。
1日目
10:00 富士山パーキング到着、タクシーもしくはシャトルバスに乗る
11:00 富士スバルライン五合目到着(標高約2,300m)
昼食と休憩を取り、高地順応。
12:10 五合目出発
13:00 六合目到着(10分休憩)
14:10 七合目到着(10分休憩)
15:50 八合目到着(10分休憩、標高約3,000m)
17:20 本八合目到着(宿泊、夕食)
20:00 就寝
2日目
4:00 起床、朝食
4:50 ご来光
5:00 出発
5:20 八合5勺
5:50 九合目
6:20 吉田・須走口山頂に到着&休憩
6:30 お鉢巡り(1.5時間。右(時計)回り)
8:00 休憩、昼食
8:30 下山開始
9:00 九合目
9:30 本八合目
9:40 八合目(休憩10分)
11:10 下山道七合目(休憩10分)
12:05 六合目
12:55 富士スバルライン五合目(昼食2回目)
14:00 タクシーかシャトルバスで富士山パーキングへ
14:45 富士山パーキング到着
15:10 温泉到着
16:00~17:00 夕食
モデルケース(富士宮ルート)
2番目に人気の富士宮ルート。標高差が1,300mと少なくて、登山距離も4.3kmと最も短くなっています。
宝永山などを経由したり、御殿場ルートに抜けるプリンスルートなど、豊富なルート選択もできます。
1日目
10:00 水ヶ窪公園駐車場到着、タクシーまたはシャトルバスに乗る
10:40 富士宮口五合目到着(標高約2,400m)
11:00 六合目
昼食と休憩を取り、高地順応。
13:00 新七合目(休憩10分)
14:00 元祖七合目(休憩10分)
14:50 八合目(休憩10分)
15:30 九合目(休憩10分)
16:10 九合5勺(宿泊、夕食)
20:00 就寝
2日目
3:30 起床、朝食
4:20 出発
4:50 富士宮口山頂到着、ご来光
5:10 お鉢巡り(1.5時間。右(時計)回り)
6:40 休憩、昼食
7:25 九号5勺
7:40 九合目
7:55 八合目
8:15 元祖七合目(休憩10分)
8:50 新七合目
9:15 六合目
9:25 富士宮口五合目
10:00 シャトルバスで水ヶ窪公園駐車場へ
10:35 水ヶ窪公園駐車場到着
11:00 温泉到着
12:00~ 昼食
モデルケース(須走ルート)
須走ルートは本八合目で吉田ルートと合流します。あまり人気が無いので八合目までは比較的すいた登山道を歩くことができます。
下山時は砂走りも楽しむことができます。
難易度などは吉田ルートとさほど変わりません。
1日目
10:30 須走多目的広場到着、タクシーに乗る
須走多目的広場(静岡県駿東郡小山町須走484-116)
http://www.fujisanpo.com/info/subashiri/transfer_parking.html
11:00 須走口五合目到着(標高1970m)
昼ご晩休憩&軽い運動をしながら薄い空気に順応させる
12:30 五合目出発(登り4時間)
14:15 六合目到着
15:15 本六合目到着
16:30 七合目の山小屋到着(標高2925m)、夕食
20:00 就寝
2日目
4:00 起床、朝食
4:50 山小屋から御来光
5:00 七合目山小屋出発(登り4時間)
6:00 本七合目到着
6:40 八合目到着
7:15 本八合目到着
8:15 九合目到着
9:00 頂上到着&休憩
9:30 お鉢巡り(1.5時間。右(時計)回り)
11:00 昼休憩
11:30 下山開始(下山3.5時間)
12:20 八合目到着
13:00 七合目到着
14:20 砂払五合目到着
15:00 須走口五合目到着、下山完了、タクシー乗る
15:30 須原多目的広場到着
15:45 温泉到着&夕食休憩
富士登山に必要な装備
富士山は天候が変わりやすく、夏でも0℃以下になるので、しっかりとした装備で登山をしましょう。
しっかりとした装備での登山は安全の高さにもつながるわ。
靴 → 登山靴を履きましょう。スニーカーやサンダルは火山性の砂利道の富士山には向いていません。また、急な雨や気温低下ですぐに足元が冷えてしまいます。
雨具 → ズボンと上着が分かれているゴアテックスなどの防水透湿素材を使った雨具を用意しましょう。ビニール製のもやポンチョは富士登山には向いていません。風が強く人の多い富士山は傘も使えません。
服装 → 登山中は暑くても、休憩やご来光を見る時などは一気に寒さを感じます。フリースやダウンジャケットなど防寒着を持参しましょう。また、肌着も含めスポーツ用の汗が乾きやすい素材のウェアを選ぶようにしましょう。0℃でも寒くならない服装が基本です。
その他の装備 → ヘッドランプ、帽子、サングラスも持参しましょう。トレッキングポールもあると余裕が生まれるのでおすすめです。
食料など → 行動食として、飴やチョコレート、スナック菓子など。水は1~2ℓは持っていくようにしましょう。
その他 → ゴミ袋、お金、日焼け止め、タオルなども忘れないようにしましょう。
登山用品店で富士登山に必要な装備を聞くのも1つの手です。
どうしても装備を整えられない人は登山用具のレンタルなども活用しよう。
遭難・事故のリスク情報
多くの人が登る富士山ですが、事故や遭難は誰にでも起こる可能性があります。
ここではその事例について紹介するので、いざというとき慌てないようにしましょう。
過去の遭難事故例と対策
富士山は標高の高さゆえに、他の山とは違う遭難事故の傾向があります。
それは、高山病や持病による遭難事故発生が4割を占めることです。
上記の対策は日頃の体調管理、無理な登山計画は立てないことです。日頃から体を動かして低山でも構わないので、登山経験を積んでおきましょう。また、無理な登山計画を立てないことで、標高に体を順応させやすくなります。
血圧や心臓など持病のある方も注意が必要です。事前にかかりつけのお医者さんなどに富士山に登っても大丈夫か確認しましょう。
その他の事故で多いのは、転倒などによる怪我と道迷いです。こちらも登山経験を積むことと、日頃のトレーニングなので防ぐことができます。
難易度は高くない富士登山ですが、標高の高い山なので他の山と同じく、しっかりとした体の準備と登山計画が必要です。
緊急時の救助について
万が一にもトラブルになったら、無理をせず救助要請を。富士山は携帯電話が使えます。
ルートにより救助要請場所は違うので、事前に電話番号の確認をしておくと安心です。
富士登山のルールとマナー
富士山は、富士箱根伊豆国立公園、世界文化遺産など色々な特別地に指定されています。
そのため、
・植物の採取禁止
・溶岩や石の持ち出し禁止
・落書き禁止
・テント設営、焚火の禁止
・ペットとの登山は難しい
などルールがあります。
その他にもごみを捨てない等、カントリーコードがあるので事前にオフィシャルサイトで確認をしておきましょう。
ルールを守って楽しい登山をしよう!
富士山の気象
富士山は3,000mを超える標高だけではなく、独立峰という特殊性もあります。
強い風が吹きやすく、様々な方向から吹く特徴もあります。また、夏は雷雨も発生しやすいので風対策と雨対策は必須です。
雷は対処ができないので、万が一雷が聞こえた時は近くの山小屋など安全な所に避難しましょう。
事前に天気予報を確認しておきましょう。
荒天が予想される場合は登山をあきらめる選択も必要だよ。
まとめ
今回は、登山を始めた人なら多くの人が目指したい、富士登山についてまとめました。
各ルートの特徴はもちろん、モデルケースも記載したので初心者の方の助けになるはずです。
また、富士登山時に起きやすいトラブルや注意事項についてもまとめました。トラブルの内容を知り対策を立てれば、より安全な登山を楽しむことができます。
みなさんもこの記事を読んで、事前にしっかりと計画を立てて、安全な富士登山を楽しみましょう。
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